「お金を増やしたい」と思ったとき、多くの人が最初にぶつかるのは、「何から手をつければいいのか分からない」という壁ではないでしょうか。
株、投資信託、不動産、暗号資産――世の中には情報があふれていて、しかもどれも「これが正解」と言い切ってくる。けれど、いざ自分のお金を動かそうとすると、不安で足がすくみます。
このガイドでお伝えするのは、その中でも「インデックス投資」という、とてもシンプルな方法です。派手さはありません。短期間で大きく儲ける方法でもありません。けれど、世界中の研究者や長期投資家が「ふつうの人が資産を築くなら、まずこれ」と口を揃える、地に足のついた手段です。
あといくらちゃんの本音
わたし自身、かつてはお金に振り回される側にいました。事業が苦しかったとき、お金を借りて、その重さに苦しんだこともあります。だからこそ、お金を「味方につける」側に回れることのありがたみが、人より少し分かるつもりです。
このガイドが、あなたが最初の一歩を踏み出し、そして何より「続けられる人」になるための、地図になればと思います。
※このガイドは情報提供を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。投資は元本割れのリスクを伴います。最終的な判断は、ご自身の責任でお願いします。
📖 この記事について
- 全体の読了時間:約20分
- こんな方におすすめ:インデックス投資をこれから始めたい方、始めたけれど続けられるか不安な方
- 時間がない方へ:各章に読了時間を表示しています。目次から気になる章にジャンプしてください。
この記事を読むと分かること
- ▸インデックス投資とは何か、なぜ「市場まるごと」を買うのか
- ▸なぜインデックス投資が長期で報われるのか(コストの話を含む)
- ▸複利という力の正体と、それを味方につける考え方
- ▸何を買えばいいか(全世界株式・S&P500)と、ファンドの選び方
- ▸どう積み立てるか(ドルコスト平均法・無理のない額・自動化)
- ▸NISAとiDeCoの使い方と、これからの制度変更
- ▸相場が揺れても続けられる人になるための備え
📌 30秒で読める要点まとめ
- インデックス投資とは「市場全体にまるごと投資する」シンプルな方法
- プロでも長期で市場平均に勝ち続けるのは難しい。だから市場まるごとに乗るのは合理的
- 報われる理由は「世界経済の長期的な成長」と「コストの安さ」(インデックスは年0.1%前後)
- 複利は時間をかけて効く。だから「早く始めて、長く続ける」ことが何より大切
- 何を買うかは、全世界株式型かS&P500型が基本。どちらが正解ということはない
- どう買うかは、毎月決まった額を自動で淡々と(ドルコスト平均法)。額は無理のない範囲で
- NISAとiDeCoの非課税枠を活用する。迷ったら自由度の高いNISAから
- いちばん難しいのは「続けること」。生活資金は投資に回さず、長期と決めて、自分の理由を持つ
時間がない方は、上記の要点だけ把握いただければOKです。詳細を知りたい方は、続きをどうぞ。
第1章 インデックス投資とは何か
(読了時間:約2分)
「市場まるごと」を買うという考え方
インデックス投資とは、ひとことで言えば「市場全体に、まるごと投資する」方法です。
たとえば「全世界の株式」や「アメリカの代表的な500社」といった大きなまとまりに、一度に少しずつ投資する。個別の会社を選んで「この会社は伸びる」と賭けるのではなく、市場という大きなかたまりに乗ってしまう。それがインデックス投資の基本的な考え方です。
「インデックス」とは、市場全体の動きを表す指数のことです。日本でいえば日経平均株価やTOPIX、アメリカならS&P500、世界全体ならMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(通称オルカン)などが有名です。これらの指数と同じ値動きを目指すのが、インデックスファンドと呼ばれる投資信託です。
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なぜ「市場まるごと」がいいのか
ここで多くの人が疑問に思うはずです。「わざわざ市場まるごと買わなくても、伸びそうな会社を選んで投資すれば、もっと儲かるのでは?」と。
ところが、ここに投資の世界の、少し意外な事実があります。プロの投資家が、調査やデータ分析を尽くして「伸びる会社」を選び続けても、長い目で見ると、市場全体の平均(=インデックス)に勝ち続けることは、とても難しいのです。
これは感覚的な話ではなく、世界中の長期データが示している傾向です。短期的には市場平均を上回るプロもいますが、それを何年も、何十年も続けられる人は、ごくわずか。多くのプロでさえ、長期では市場平均に届かない。
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つまり、「市場まるごと」を買うインデックス投資は、消極的な妥協ではありません。むしろ「プロでも勝ち続けられない相手に、最初から乗ってしまう」という、合理的な戦略なのです。
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この章のまとめ
- ▸インデックス投資とは、市場全体にまるごと投資する方法
- ▸個別の会社を選ぶのではなく、指数(インデックス)に連動するファンドを買う
- ▸プロでも長期で市場平均に勝ち続けるのは難しい。だから「市場まるごと」に乗るのは合理的
第2章 なぜインデックス投資が報われるのか
(読了時間:約3分)
株価は、短期と長期で「別の顔」を持つ
投資を始めると、毎日のように株価が上がったり下がったりするのが気になります。ニュースは「急落」「最高値」と賑やかで、そのたびに心が揺れます。
ここで、わたしの心の支えになっている言葉があります。投資の世界で古くから知られる、ベンジャミン・グレアムという人の考え方です。彼はこう言いました――株価は、短期的には「人気投票」、長期的には「計量器」である、と。
短期的な株価は、人々の期待や不安、つまり感情で大きく揺れます。良いニュースに浮かれて買われすぎたり、悪いニュースに怯えて売られすぎたり。これは、人気投票のようなものです。
けれど長期で見ると、株価は最終的に、その企業や経済が本当に生み出した価値に近づいていく。感情の波は、時間が経てばならされて、実体(=計量器が測る重さ)に収束していく。そういう考え方です。
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わたしが長期で前向きでいられる理由
では、なぜ「長期では報われる」と言えるのか。それは、世界経済がこれまで長い目で見れば成長を続けてきたから、という事実が一つの根拠です。
そして、これはあくまでわたし個人の見立てですが――これからの時代も、世界全体としては前に進んでいくのではないかと考えています。たとえば、いま大きく進んでいるAIの技術は、わたしたちの暮らしや仕事のあり方を変えつつあります。それに伴って、医療や宇宙、情報技術といったさまざまな分野で、新しい進歩が生まれていくのではないか。そんな期待を持っています。
だから、短期的に相場が大きく揺れる局面があっても、「長い目で見れば、世界全体は前に進む」と考えて、わたしは淡々と続けています。
ただし――ここははっきりお伝えしておきたいのですが、これはあくまでわたしの見立てであって、未来は誰にも分かりません。「必ず上がる」と約束できる人は、世界中のどこにもいません。だから、確実な未来を当てにするのではなく、「長期的には世界全体が成長してきた」という過去の傾向に、謙虚に乗らせてもらう。そういう姿勢が大切だと思っています。
だからこそ、「世界まるごと」に乗る
ここで、第1章の話とつながります。
「AIや新しい技術がこれから伸びる」と感じても、では具体的にどの会社が、どの分野が勝つのか――それを正確に当て続けるのは、プロでも至難の業です。今をときめく会社が10年後も勝者である保証はないし、まだ無名の会社が時代を変えるかもしれない。
だからこそ、特定の会社や分野に賭けるのではなく、「世界全体」というかたまりに、まるごと乗ってしまう。どこが勝っても、世界全体が成長すれば、その果実をきちんと受け取れる。これが、インデックス投資が長期で報われやすい理由です。
もう一つの理由 ―― コストが安いこと
インデックス投資が報われやすい理由は、もう一つあります。それは「コストが安い」ことです。これは地味に見えて、長期ではとても大きな違いを生みます。
投資信託には、保有しているあいだ、毎年かかり続ける運用コスト(信託報酬と呼ばれます)があります。プロが銘柄を選んで運用するタイプのファンド(アクティブファンド)は、その手間がかかる分、コストが高くなりがちで、年に1〜2%程度かかるものも珍しくありません。
一方、インデックスファンドは、指数に連動するだけなので、銘柄を選ぶ手間がかかりません。その分コストがとても安く、いまでは年0.1%前後という低さのものもあります。
「たった1%の違い」と思われるかもしれません。けれど、このコストは毎年、しかも資産全体にかかり続けます。そして前の章でお伝えした「長期では報われる」という時間の力は、リターンだけでなくコストにも働きます。つまり、わずかなコストの差が、何十年という時間をかけて、複利的に積み上がっていく。最終的に受け取れる金額に、無視できないほどの差を生むのです。
だからこそ、「できるだけコストの低いインデックスファンドを選ぶ」ことは、長期投資においてとても大切になります。具体的な選び方は、第4章であらためてお伝えします。
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この章のまとめ
- ▸株価は短期では感情(人気投票)で揺れ、長期では実体(計量器)に近づく
- ▸世界経済は長期で成長してきた。それが「長期では報われる」一つの根拠
- ▸ただし未来は誰にも分からない。確実な予想ではなく、過去の傾向に謙虚に乗る姿勢が大切
- ▸どの分野が勝つかを当てるのは難しい。だから「世界まるごと」に乗る
- ▸インデックスファンドはコストが安い(年0.1%前後)。わずかな差が長期では複利的に効く
第3章 複利という力 ── お金を増やす力を、味方につける
(読了時間:約2分)
雪だるまのように増えていく
インデックス投資の心臓部にあるのが、「複利」という仕組みです。
複利とは、ざっくり言えば「増えたお金が、さらにお金を生む」仕組みのことです。投資で得た利益を引き出さずにそのまま運用し続けると、元のお金だけでなく、増えた分にもまた利益がつく。それがまた次の利益を生む。雪だるまを転がすと、表面積が増えるほど雪がたくさんくっついて、加速度的に大きくなっていく――あのイメージに近いものです。
この複利の力は、時間が長ければ長いほど効いてきます。だから、投資は「早く始めて、長く続ける」ことが、何より大切だと言われるのです。短期間ではたいした差に見えなくても、10年、20年、30年と続けるうちに、複利は静かに、しかし確実に、大きな差を生んでいきます。
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わたしが「お金の力の重さ」を、身をもって知った話
あといくらちゃんの本音
ここで、少し個人的な話をさせてください。
わたしはかつて、自分の事業が苦しかった時期に、消費者金融からお金を借りたことがあります。当時としては苦肉の策でした。生きていくため、事業を続けるための、やむを得ない選択でした。
そのとき、身をもって思い知ったことがあります。借りたお金は、想像以上に重かった。毎月きちんと返しているはずなのに、元金がなかなか減っていかない。返しても、返しても、なかなか軽くならない。あの感覚は、経験した人でないと、なかなか伝わらないかもしれません。
(念のため補足すると、消費者金融の利息そのものは、一般に「残高に応じた日割り計算」で、ここで言う投資の複利とは仕組みが違います。わたしが苦しかったのは、金利が高く、返済しても元金が思うように減らない――そういう「お金が生み出す力の重さ」を、借りる側で味わったということです。)
その力が、今度は自分の味方になる
なぜこんな話をするかというと、お金が生み出す力の「重さ」を、わたしは借りる側で痛いほど知ったからです。
そして、投資を続けるようになって気づきました。あのとき自分を苦しめた「お金が雪だるま式に効いていく力」は、立場が変われば、今度は自分の味方になる。借りる側にいたときは重くのしかかってきたその力が、コツコツ投資する側に回ると、長い時間をかけて、自分の資産を静かに育ててくれる。
だからこそ、わたしは複利のありがたみが、人より少し分かるつもりです。お金に振り回されて苦しんだ経験があるからこそ、その同じ力を、今度は自分のために働かせられることの心強さを、しみじみと感じています。
もちろん、投資は預金とは違い、元本が保証されているわけではありません。「複利だから必ず増える」とは言えません。けれど、長期で、コツコツと、続けていく。その姿勢が、複利という力を味方につける唯一の方法だと、わたしは考えています。
この章のまとめ
- ▸複利とは「増えたお金が、さらにお金を生む」仕組み。時間が長いほど効く
- ▸だから投資は「早く始めて、長く続ける」ことが大切
- ▸お金が生み出す力は、借りる側では重くのしかかるが、投資する側では味方になる
- ▸ただし投資は元本保証ではない。「必ず増える」ではなく、長く続けることで複利を味方につける
第4章 何を買うか・どう選ぶか
(読了時間:約2分)
大きく分けて、二つの選択肢
お金が生み出す力を、今度は自分の味方につける。第3章で、わたしはそんな話をしました。とはいえ、気持ちが前を向いても、「では具体的に何をどうすればいいのか」が分からなければ、最初の一歩は踏み出せません。
ここからは、その力を実際に味方につけるための、具体的な話に入っていきます。難しく考える必要はありません。一つずつ、見ていきましょう。
「インデックス投資を始めよう」と決めたとき、最初に迷うのが「で、具体的に何を買えばいいの?」という点です。
世界には無数のインデックスファンドがありますが、初めての方がまず検討する対象は、大きく二つに整理できます。一つは「全世界株式型」、もう一つは「米国株式(S&P500)型」です。
全世界株式型は、その名のとおり、世界中の株式にまるごと分散して投資します。アメリカ、ヨーロッパ、日本、新興国――地球規模で広く乗るイメージです。「どこの国が伸びるか分からないけれど、世界全体としては成長していくだろう」という考え方に、最も素直に沿った選択肢です。
S&P500型は、アメリカを代表するおよそ500社にまとめて投資します。世界経済を長く牽引してきたアメリカの主要企業に集中して乗る、という考え方です。
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どちらが正解、というものではない
ここでよく「全世界株式とS&P500、どっちがいいの?」と聞かれます。けれど、これに「こちらが正解」という答えはありません。
全世界株式は、より広く分散している分、特定の国の浮き沈みに左右されにくいという安心感があります。一方S&P500は、アメリカに集中する分、アメリカが好調なときには大きく伸びますが、その分アメリカ次第という面もあります。どちらを選ぶかは、その人の考え方次第です。
参考までにお伝えすると、わたし自身は、全世界株式とS&P500を中心に保有しています。第2章でお伝えしたAIや新しい技術への期待もあって、アメリカを中心とした世界経済の成長に乗りたいという気持ちがあるからです。ただ、これはあくまでわたしの考えと選択であって、「これが正解」とおすすめするものではありません。ご自身が納得できる考え方で選ぶのが、いちばん長く続けられると思います。
選ぶときの三つの基準
では、同じ「全世界株式型」のなかでも、どのファンドを選べばいいのか。細かい商品選びは別の記事に譲りますが、基本となる三つの基準だけお伝えします。
- ▸コストが低いこと。第2章でお伝えしたとおり、信託報酬の差は長期で大きく効きます。同じ指数に連動するなら、できるだけコストの低いものを選ぶのが基本です。
- ▸純資産が十分に大きいこと。多くの人が買っている、規模の大きなファンドは、運用が安定しやすく、途中でなくなってしまう心配も小さくなります。
- ▸目指す指数にきちんと連動している実績があること。インデックスファンドは「指数と同じ値動き」を目指す商品なので、その仕事をちゃんと果たしているかは大切なポイントです。
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この章のまとめ
- ▸初めてなら、まず「全世界株式型」か「S&P500型」が基本の選択肢
- ▸どちらが正解ということはない。自分が納得できる考え方で選ぶのが、続けるコツ
- ▸ファンドを選ぶ基準は「低コスト」「純資産が大きい」「指数連動の実績」の三つ
第5章 どう積み立てるか
(読了時間:約2分)
「いつ買うか」を考えなくていい方法
何を買うかが決まったら、次は「どう買うか」です。
ここでも、インデックス投資はシンプルです。結論から言えば、「毎月決まった額を、自動で、淡々と買い続ける」――これが基本です。
投資というと、「安いときに買って、高いときに売る」というイメージがあるかもしれません。けれど、相場が今日より明日上がるか下がるかは、プロでも当てられません。だから、「いつ買うか」を読もうとするのは、たいてい徒労に終わります。
そこで使われるのが、「ドルコスト平均法」という考え方です。これは、毎月決まった金額を、相場の高い安いにかかわらず買い続ける方法です。価格が高いときには少なく、安いときには多く買うことになるので、長い目で見れば、買う価格が自然とならされていきます。「いつ買うか」という難しい判断から、自分を解放してくれるやり方です。
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大切なのは「無理のない額」で続けること
毎月いくら積み立てるか。これは、人によって答えがまったく違います。
参考までにお伝えすると、わたしは収入のうち、おおよそ三割を積立に回しています。ただ、これはわたしの暮らしの事情に合った額であって、「三割が正解」というわけではありません。これより多い人もいれば、まずは月数千円から、という人もいます。
いちばん大切なのは、金額の多さではなく、無理なく続けられる額にすることです。生活が苦しくなるほど投資に回してしまうと、いざお金が必要になったときに、相場が下がっている最悪のタイミングで売らざるを得なくなる――これがいちばん避けたい事態です。
第3章でお伝えしたとおり、複利は時間をかけて効いてきます。だから、無理をして大きな額を一度きりで投じるより、無理のない額を長く続けるほうが、結果的に力になります。まずは「これなら続けられる」という額から始めて、収入が増えたり生活に余裕ができたりしたら、少しずつ増やしていく。それで十分です。
自動化して、忘れるくらいがちょうどいい
積立は、毎月自分で買い付けるのではなく、自動で積み立てる設定にしておくのがおすすめです。
証券口座では、「毎月この日に、この金額を、このファンドで」と一度設定しておけば、あとは自動で買い付けてくれる仕組みがあります。こうしておくと、相場が気になって手を出してしまうこともなく、淡々と続けられます。
少し極端な言い方をすれば、「設定したら、あとは忘れるくらいがちょうどいい」のです。日々の値動きに一喜一憂せず、淡々と積み立て続ける。その「淡々と」が、長期投資ではいちばんの味方になります。
この章のまとめ
- ▸「いつ買うか」は読めない。毎月決まった額を淡々と買い続ける(ドルコスト平均法)
- ▸積立額は「無理なく続けられる額」が最優先。多さより継続
- ▸生活資金を投資に回さない。無理のない額を長く続けるほうが、複利の力を活かせる
- ▸自動積立に設定して、あとは忘れるくらいがちょうどいい
第6章 NISAとiDeCoで、制度を最大限に活用する
(読了時間:約3分)
「非課税」という、使わないともったいない仕組み
ここまでの章で、何を、どう買うかをお伝えしてきました。この章では、それを「どの器で持つか」という話をします。これが、手取りを大きく左右します。
通常、投資で得た利益には、約20%の税金がかかります。たとえば10万円の利益が出ても、手元に残るのはおよそ8万円です。ところが、この税金がまるごとかからなくなる制度があります。それが、NISAとiDeCoです。
同じ投資をするなら、こうした非課税の制度を使わない手はありません。むしろ、多くの人にとっては「まずNISAやiDeCoの枠を使い切ることを考える」のが出発点になります。
NISA ―― まず使いたい、自由度の高い非課税制度
NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度です。2024年から大きく拡充され、とても使いやすくなりました。
現在のNISAには、二つの枠があります。一つは「つみたて投資枠」で、年間120万円まで。もう一つは「成長投資枠」で、年間240万円まで。二つを合わせると、年間で最大360万円まで投資できます。そして、生涯にわたって非課税で保有できる上限は、合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)と定められています。
NISAの大きな魅力は、自由度の高さです。非課税で保有できる期間に期限はなく、いつでも引き出せます。さらに、保有していた商品を売却すると、その分の枠が翌年以降にまた使えるようになります。
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iDeCo ―― 老後資金づくりに強い、もう一つの制度
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分でつくる年金、とも言える制度です。NISAと並ぶ非課税のしくみですが、性格はかなり違います。
iDeCoの最大の特長は、税制の優遇が手厚いことです。掛金が全額、所得控除の対象になります。つまり、積み立てた分だけ、その年の所得税や住民税が軽くなる。運用中の利益が非課税なのはNISAと同じですが、iDeCoは「入り口(掛金)」の段階でも節税できるのが大きな違いです。わたし自身、この掛金の所得控除は、毎年の節税効果として実感しています。
ただし、iDeCoには注意点もあります。老後資金づくりのための制度なので、原則として60歳まで引き出せません。この点はNISAと正反対で、「自由に引き出せない代わりに、税制優遇が手厚い」と理解しておくとよいと思います。
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知っておきたい、これからの制度変更
iDeCoは、近年いくつかの制度改正が予定されています。せっかくなので、押さえておきたい主な変更を、時期とともにお伝えします(制度の細部は変わることがあるので、実際に始める際は、必ず公式の最新情報をご確認ください)。
一つは、受け取りに関するルールの変更です。2026年1月以降、退職金とiDeCoを受け取る際の税金の計算ルール(退職所得控除の適用期間)が、これまでの「5年」から「10年」に変わります。受け取る順番や時期によって税負担が変わるため、出口(受け取り方)の設計が、より大切になります。
もう一つは、2026年12月に施行され、2027年1月の引落分から適用される、拠出限度額と加入可能年齢の引き上げです。毎月の掛金の上限が引き上げられ、また、これまで原則65歳未満だった加入可能年齢が、70歳未満まで広がる予定です。より長く、より多く、老後資金を準備しやすくなる方向の改正です。
こうした変更は、いずれも「制度がより使いやすくなる」方向のものです。細かく追いかける必要はありませんが、「iDeCoは今後さらに拡充されていく」という大きな流れだけ、頭の片隅に置いておくとよいと思います。
NISAとiDeCo、どう使い分けるか
二つの制度、どちらから手をつければいいか迷ったら、おおまかにこう考えると整理しやすいです。
いつでも引き出せる自由度を重視するなら、まずはNISA。老後資金として割り切って、手厚い節税メリットを活かしたいなら、iDeCo。多くの方は、まず自由度の高いNISAから始めて、余裕があればiDeCoも併用する、という順番が考えやすいと思います。
ただし、どちらをどう使うかは、年齢や収入、いつそのお金を使いたいかによって変わります。ご自身の状況に合わせて選んでください。
この章のまとめ
- ▸投資の利益には通常約20%の税金。NISAとiDeCoはこれが非課税になる
- ▸NISAは年間最大360万円・生涯1,800万円まで、無期限・いつでも引き出せて自由度が高い
- ▸iDeCoは掛金が全額所得控除で節税に強いが、原則60歳まで引き出せない
- ▸iDeCoは制度改正が続く(2026年1月から受け取りの10年ルール、2027年1月適用で限度額・加入年齢の引き上げ)。最新情報は公式で確認を
- ▸迷ったら、まず自由度の高いNISAから。余裕があればiDeCoも併用
この章の制度情報の出典
本章で紹介した制度の数字や改正内容は、以下の公式情報に基づいています。制度は今後変更されることがあるため、実際に始める際は、必ず最新の公式情報をご確認ください。
- ▸NISAについて:金融庁「NISA特設ウェブサイト」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/ →
- ▸iDeCoについて:iDeCo公式サイト・国民年金基金連合会https://www.ideco-koushiki.jp/ →
第7章 続けられる人になる ── 不安定な局面との向き合い方
(読了時間:約3分)
いちばん難しいのは「続けること」
ここまで、インデックス投資の考え方や仕組みをお伝えしてきました。実は、インデックス投資そのものは、とてもシンプルです。難しい銘柄選びも、複雑な売買のタイミングも要りません。
では、何がいちばん難しいのか。それは「続けること」です。
投資を始めると、必ず相場が下がる時期がやってきます。資産が目減りしていくのを見るのは、誰にとっても不安なものです。ニュースは不安を煽り、「いま売ったほうがいいのでは」という気持ちが頭をよぎる。この不安に負けて、下がったところで売ってしまう――これが、長期投資でいちばんよくある失敗です。
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わたしが揺れる相場で感じたこと
あといくらちゃんの本音
正直にお話しします。わたしは、いわゆる歴史的な大暴落――たとえばリーマンショックやコロナショックのような、資産が一気に大きく目減りする局面を、投資家として真正面から経験したわけではありません。そこは誇張せずにお伝えしておきたいところです。
ただ、相場が不安定に揺れる局面は、いくつか経験してきました。アメリカの政権が変わって市場がざわついたとき。ウクライナとロシアの戦争が起きたとき。アメリカとイランの緊張が高まったとき。そうした出来事のたびに、ニュースは不安を伝え、わたしの資産の評価額も、日々上下しました。
そのとき、自分でも少し意外だったのですが、わたしはあまり動揺しませんでした。むしろ、相場が下がれば「これで同じ積立額でも、より多く買える」と素直に思えましたし、上がれば上がったで、素直に嬉しいと感じました。
なぜそう思えたのか。振り返ると、第2章でお伝えした「長い目で見れば、世界全体は前に進んでいく」という見立てに、自分なりに納得していたからだと思います。短期的な値動きは、グレアムの言う「人気投票」――そのときの感情の揺れにすぎない。長い目で見れば、価値は実体に近づいていく。そう考えていたので、目先の上下に一喜一憂せずにいられました。
ただし、感じ方は人それぞれ
もっとも、これはあくまでわたしの場合の話です。
同じように相場が下がっても、感じ方は人によって違います。投じている金額や、そのときの暮らしの状況、性格によっても、不安の大きさはまったく変わってきます。わたしが比較的落ち着いていられたのは、たまたま長期の見立てに納得できていたからかもしれませんし、生活に直ちに困るお金を投じていなかったからかもしれません。
ですから、「誰でも平気でいられる」と言うつもりはありません。大切なのは、自分が不安に飲み込まれないように、あらかじめ備えておくことだと思います。具体的には――
- ▸生活に必要なお金や、近いうちに使う予定のお金は、投資に回さない
- ▸「長期で続ける」と最初に決めて、短期の値動きは見過ぎない
- ▸なぜ自分が投資を続けるのか、その理由(自分なりの見立て)を持っておく
こうした備えがあると、相場が揺れたときにも、「これは想定の範囲内だ」と、落ち着いていられます。
この章のまとめ
- ▸インデックス投資でいちばん難しいのは「続けること」。下落時に売ってしまうのが典型的な失敗
- ▸わたし自身は歴史的大暴落の経験はないが、相場が揺れる局面では「安く買える」と前向きに受け止められた
- ▸それは「長期では世界全体が前に進む」という見立てに納得していたから
- ▸ただし感じ方は人それぞれ。生活資金は投資に回さない、長期と決める、自分の理由を持つ、といった備えが大切
第8章 最初の一歩、そしてその先へ
(読了時間:約2分)
始めるのは、思っているより簡単です
ここまで読んでくださったあなたは、もうインデックス投資の考え方を、ひととおり理解されています。あとは、実際に始めるだけです。
始め方は、思っているよりずっと簡単です。大きくは、三つのステップだけです。
- ▸一つめは、証券口座を開くこと。ネット証券なら、スマホやパソコンから申し込めて、手数料も安く済みます。NISA口座も、このときに一緒に開設できます。
- ▸二つめは、買うものを決めること。第4章でお伝えしたとおり、まずは全世界株式型か、S&P500型か。自分が納得できるほうを選びます。
- ▸三つめは、積立の設定をすること。第5章でお伝えしたとおり、無理のない金額を、毎月自動で積み立てる設定にします。
これだけです。あとは、淡々と続けるだけ。難しい操作も、毎日の値動きのチェックも要りません。最初の設定さえ済ませてしまえば、あとは時間が、あなたの代わりに働いてくれます。
その一歩が、経済的自由につながっている
最後に、少し大きな話をさせてください。
このガイドでお伝えしてきたインデックス投資は、それ自体が目的ではありません。その先には、「経済的自由」――お金の心配から少しずつ解放され、自分の人生の選択肢が広がっていく、という目的地があります。
毎月コツコツと積み立てたお金は、複利の力で、何年もかけて静かに育っていきます。その積み重ねが、5年後、10年後、20年後の「選べる自由」になります。働き方を見直す自由、好きなことに時間を使う自由、大切な人と過ごす時間を増やす自由。インデックス投資は、その自由を手に入れるための、もっとも地道で、もっとも確実な土台のひとつです。
経済的自由(FIRE)の全体像については、別のガイドで詳しくお伝えしています。インデックス投資という土台の上に、どう人生後半の自由を築いていくか。あわせて読んでいただけると、点と点がつながるはずです。
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お金は、手段にすぎない
わたしがいつも思っているのは、お金はあくまで手段だ、ということです。
お金そのものを増やすことが、人生の目的ではありません。お金は、大切な人と豊かな時間を過ごしたり、自分が本当にやりたいことに挑戦したりするための、道具にすぎません。インデックス投資は、その道具を、無理なく、着実に育てていくための方法です。
かつてお金に振り回されて苦しんだわたしだからこそ、声を大にして言いたいのです。お金は、正しく付き合えば、あなたの人生を後ろから支えてくれる、頼もしい味方になります。その第一歩を、どうか今日、踏み出してみてください。
この章のまとめ
- ▸始め方は三ステップ。①証券口座を開く ②買うものを決める ③積立を設定する
- ▸あとは淡々と続けるだけ。時間が代わりに働いてくれる
- ▸インデックス投資は、経済的自由(FIRE)を築くための土台
- ▸お金は目的ではなく手段。大切な人との時間や、やりたいことのために育てるもの
よくある質問(FAQ)
Q. 50代から始めても遅くないですか?
遅くありません。複利は時間が長いほど効きますが、「今より早い日はない」のも事実です。運用できる期間が短いぶん、ご自身の状況に合った無理のない額で、コツコツ続けることが大切になります。インデックス投資は、何歳から始めても「市場まるごとに乗る」というやり方そのものは変わりません。
Q. 全世界株式とS&P500、結局どちらを選べばいいですか?
「こちらが正解」という答えはありません。広く分散して特定の国の浮き沈みに左右されにくいのが全世界株式、アメリカに集中して好調時に大きく伸びやすいのがS&P500です。どちらを選ぶかは考え方次第で、自分が納得できるほうが、いちばん長く続けられます。詳しくは第4章をご覧ください。
Q. いくらから始めればいいですか?
「無理なく続けられる額」が最優先です。月数千円から始める人もいれば、収入の数割を回す人もいます。大切なのは金額の多さより、長く続けることです。生活が苦しくなるほど投資に回すと、いざというときに相場が下がったタイミングで売らざるを得なくなる――これがいちばん避けたい事態です。まずは続けられる額から始めて、余裕ができたら少しずつ増やせば十分です。
Q. 暴落が怖くて始められません。
不安になるのは自然なことです。だからこそ、生活に必要なお金や近いうちに使うお金は投資に回さない、最初に「長期で続ける」と決めて短期の値動きを見過ぎない、「なぜ自分は続けるのか」という理由を持っておく――この備えが効きます。積立を続ける人にとって、下落は「同じ額でより多く買える機会」でもあります。詳しくは第7章をご覧ください。
Q. NISAとiDeCo、どちらから始めればいいですか?
迷ったら、まず自由度の高いNISAからが考えやすいです。NISAはいつでも引き出せるのに対し、iDeCoは原則60歳まで引き出せない代わりに、掛金が全額所得控除になる手厚い節税メリットがあります。多くの方は、まずNISAを始めて、余裕があればiDeCoも併用する、という順番になります。詳しくは第6章をご覧ください。
※このガイドは情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。実際の投資判断は、ご自身の責任において行ってください。



